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18禁小説『カラフルラブポップ【千夜編プロローグ】』

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 オリジナル18禁学園モノですが、プロローグなのでまだエロシーンはないです。
 他シリーズに出ている同名キャラと性格などかなり違いますが、これはこれ、それはそれで!
 千夜編は喧嘩屋少年と天然小悪魔巨乳娘のラブ&エロとなります。


プロローグ
 心が折れた人間は、牙の折れた獣と同じだ。
 それが喧嘩屋のバイトで生計を立てている高校生、沢村誠助の持論だ。
 何を以て心を折るか、その問いに彼はこう答える。
 ――圧倒的な暴力。
 金色の獣のような少年は、今日も路地裏で己の力を誇示する。

 沢村の長い足が、自分より倍は幅のある男を蹴り飛ばした。
「ぐあっ!」
 潰れた声を上げながら倒れ込んだ男の顔を容赦なく蹴り上げる。
「ゆ、許してくれ……」
 男の血反吐混じりの懇願を聞き、少年は舌打ちをした。
「消えろ、目障りなんだよ」
 沢村がそう吐き捨てると、男は這う這うの体で逃げ出していった。
「クソ、つまんねえな」
 沢村はもう一度舌打ちをすると、ジーパンのポケットからスマートフォンを取り出し電話をかける。
 数回のコール音の後、開始される通話。
「おう、沢村か。終わったんだな?」
 相原壮馬――電話の相手は沢村の恩人であり上司でもある男だ。
 中学時代、路頭に迷うところだった彼をスカウトし、暴力で食べていくことを教えた人間。
「はい、ストーカーでしたっけ? もう依頼人には近付かないでしょ。あいつは完全に折れてました」
「お前がそう言うなら安心だ」
 心を折られた人間は実に無力で、身の周りの全てに怯えるようになる。
 中学生の時、沢村はそれを知った。
「明日給料払うから、事務所まで来てくれ」
「分かりました、ども」
 短い言葉で電話を切ると、沢村は自宅であるアパートに向かって歩き出した。
 ――強く、もっと強く、強く、強く……。
 誰にも負けない強さを、その証明を、沢村は必要としていた。
 沢村の父親はろくでもない男だった。
 酒を飲んでは妻や息子に暴力を振るう。そんな人間だった。
 必死に働いた母は、沢村が中学に入る頃体を壊しこの世を去った。
 そこから父の暴力は息子一人に向かうようになった。
 だが、沢村は強くなっていた。
 痣だらけの細い体も、折れずに耐えていた心も。
 少年は父親を殴った。
 何度も殴り、蹴り、踏み付けた。
 父は泣いて許しを乞い、どこかへ逃げていった。
 その時、沢村の中にあった怒りや憎しみといったものは急速に冷めていった。
 残ったのは、強さへの渇望と弱さへの恐怖だ。
 それは今でも変わっていない。

 晴空市の海を臨む丘に建つ晴常高校。
 三年一組の窓際の席で、沢村はぼんやりと海を眺めていた。
 相原に勧められて高校に通ってはいるが、学園生活を謳歌しようという気持ちはない。
 とはいえ、友人ぐらいはできるものである。
「なあ、沢村」
 後ろの席から身を乗り出し声をかけてきたのは、ひょろりと背が高く分厚い眼鏡をかけた少年だ。
「魔法少女ミルキーピーチの新刊出たぜ」
「いや、それ俺に言われても困るわ。読んでねえし」
 そう言いながら沢村は苦笑する。
 秋葉貴弘は漫画やアニメを愛するオタク少年だが、何故か沢村とは気が合うのだった。
「二次元ロリこそ至高」
「二次元だろうが何だろうが、乳はあった方がいいだろ」
「沢村は巨乳派だよな」
「悪いかよ」
「いーや。でもさ、だったら海戸さんと付き合っちまえば?」
 沢村はガクリと肩を落とす。
「何でそうなる」
「だって学校一の巨乳で男子に大人気、成績はトップクラスで性格も悪くない。そんな美少女が……」
 とんっとんっとんっと小気味の良い足音が近付いてくる。
 沢村と秋葉がそちらに目をやると、ブラウスと三年生であることを示す赤いネクタイの下でゆさゆさと揺れるバストが目に入った。
 グレーのプリーツスカートと黒いサイハイソックスから覗く肉付きの良い太ももを惜しげもなく晒し、海戸千夜は机に通学鞄を置いた。
 彼女が隣の席の沢村に眩しい笑顔を向けると、黒いボブカットの髪がふわりと舞う。
「おはよう、沢村君。今日ね、沢村君のおうちに行ってみたいなあ」
「何でいいって言われると思った」
「えー、だめ?」
 小首を傾げて大きな瞳で見つめてくる千夜に、沢村は溜め息をついた。
「駄目に決まってんだろ。俺はお前と違って暇じゃねえんだよ」
「ざんねーん」
 千夜は肩を落としたが、気を取り直したように再び微笑む。
「昨日読んだ本が面白かったんだ」
「俺に関係ねえよな」
「イギリスでベストセラーになってるミステリーなんだけど、まだ日本に入ってないから取り寄せたんだよ」
「そうかよ」
「主人公は探偵なんだけど元刑事でね」
 眉間に皺を寄せている沢村に嬉々として話しかける千夜。クラスメートたちはこっそりとその様子を伺っている。
「海戸さん、海戸さん」
 秋葉は助け船を出すように千夜に話しかけた。
「なになに?」
「こいつ本読まないから、多分その話噛み合わない」
 苦笑いと共にそう言うと、千夜は恥ずかしそうに自分の頬を押さえた。
「つい楽しかったことを話しちゃった。ごめん、興味なかったよね」
 そして困ったようにはにかむ。
「えっと、沢村君の好きなこととか教えてもらえると嬉しいな?」
 ――可愛い……。
 沢村は一瞬千夜に見惚れたが、すぐ我に返った。
「好きなもんとかねえから。つか話しかけんな、うぜえ」
 そう言い捨てたところで丁度チャイムが授業開始を告げる。
 千夜は気を悪くした様子もなく「そっかあ」とだけ口にし、鞄から教科書を取り出した。
 ――可愛い、乳でけえ、性格も悪いわけじゃねえ。
 沢村は千夜を横目で見ながら小さく息をついた。
 三年生になって同じクラス、それも隣り合う席になって一か月が経つが、千夜はこんな調子だ。
 不良の沢村を避ける生徒が多い中――二年の時から仲の良かった秋葉は別だが――何故か懐いて話しかけてくる千夜。
「沢村君とお話してみたかったんだあ」
 などと初対面で言われ、「そうかよ」と返せば嬉しそうに頷いて……。
 普通の男子であれば一発KOだっただろう。
 だが沢村は違った。
 好意を示されればまず疑う。
 喧嘩屋であることを公言してはいないが、どこで知られているか分からない。恨みを買っているのだから疑ってかかるのは鉄則だ。「デートしよ」などと言われてほいほいついていったら鉄パイプを持った男たちに囲まれるということだってあり得る。
 だから適当にあしらった。
 それでも毎日こうやって話しかけてくるのだ、千夜は。
 疑う気持ちと可愛いと思う気持ち、その半々で沢村も対応に困り始めていた。
 ――つか、マジで乳でかくね?
 三桁あるのではないかと思われる巨乳が、沢村を誘惑する。
 相原に違法な風俗店へ連れていかれたことも何度かあるが、これほど大きいバストの持ち主には会ったことがない。
 アーモンド形の目は大きく、華やかな顔立ちは化粧をしていなくても魅力的だ。
 柔かそうな髪も、ふわりと香るシャンプーの匂いも、彼女を構成する全ての要素が愛らしい。
 海戸千夜はそういう少女だ。
 周囲に愛され、蝶よ花よと育てられた悪意を知らない箱入り娘なのだろう。
 ――ただ俺のことが物珍しいだけだろ。
 そう思い直し、沢村は授業を聞くわけでもなく窓の外を眺めるのだった。
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テーマ:恋愛:エロス:官能小説 - ジャンル:小説・文学

  1. 2019/09/12(木) 20:12:28|
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