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18禁小説『愛のキスを貴女に』

 魔法探偵千夜第二話。ショッピングモールでデートをしていた千夜と風切は殺人鬼の存在に気付く。
 恋人ではない男からのディープキス、フェラ強要です。


『愛のキスを貴女に』

 日曜日の午後、風切と千夜は海辺にあるショッピングモールへと来ていた。
 春も終わりかけたこの時期、千夜は夏用の服が欲しいらしく風切に選んでもらいたいと言ってきたのだ。
 まあ、所謂デートである。
「これとかどう思う?」
 ブティックに並んだ服の中から一着を手に取り、千夜は合わせて見せた。
 白いノースリーブのワンピースは清楚なイメージで、千夜によく似合っている。
「いいんじゃねえの」
「じゃあこれにしようかな」
「なんかよそ行きって感じだけど、いつ着るんだ?」
「夏休みに里帰りするから、その時のためにね」
「あー」
 ――俺とのデートでも着てほしいけど、釣り合わねえか……。
 千夜は今、ハイネックの黒いセーターに赤いプリーツスカートという一件カジュアルな格好だが、生地をよく見れば高いものだと分かる。
 一方風切の方は、安物のTシャツにジャケットとジーパンという出で立ちだ。
 風切には父も母もいない。バイトで生活費と学費を稼ぐ身で、洒落た格好をする余裕はなかった。
 ――そのワンピース高そうだし、俺が隣歩いてたら変だよなあ。
「どうしたの? やっぱり似合わないかな?」
 千夜に顔を覗き込まれ、風切は我に返った。
「いや、似合う。すっげー似合う!」
「それならいいんだけど。――あ、サイズ合うか試着してくるね」
 千夜は踵を返し、試着室に向かう。
 待っている間、風切はブティック内をぶらつくことにした。
「たまには、プレゼントとかしてえんだけどなー」
 デートでアクセサリーの一つでも渡せるぐらいの余裕が欲しいのだ。
「指輪は流石に重いかもしんねえけど、ペンダントとかイヤリングぐらい……」
 そう呟き、小物の類に目をやる。
 派手過ぎず品の良いアクセサリーは千夜に似合いそうだが、風切の財布には合わなかった。
 ――このペンダント、さっきのワンピースに似合いそうなんだけどな。
 細身のチェーンにリボンを模った銀のチャームが付いたペンダントは、風切に限らず高校生では高い買い物になるだろう。
「サイズ合ったから買ってきたよ」
 後ろから声をかけられ、風切は慌てて振り向いた。
「風切君も何か欲しいのあった?」
「いや、別に……」
「そっか。そうだ」
 千夜は真剣な表情をして、声をひそめた。
「さっきから、殺意を感じる」
「ここでか?」
 千夜は目をつぶって集中し、首を横に振った。
「この感じだと、二階にあるコスメショップだと思う」
「コスメショップ……」
「最近女性のバラバラ死体が連続して見付かってるけど、全員同じ口紅を塗られてたって聞いた。関係あるかもね」
「分かった」
 風切は千夜と共にコスメショップへ向かった。

 サラリーマン風の男は口紅を買うと店を出て行った。
 今の店員はなかなか美しい唇をしていた、この口紅が似合うだろう……、などと思いながら。
 葛原光男の瞳が、ある少女を写す。
 同じ年頃であろう少年と腕を組み、前を通り過ぎていく彼女の唇。
 ――あれは一級品だ。色も艶も良い……。
 少年はここで殺し、少女だけ連れ去ろう、と葛原は考えた。
 まるでそんな葛原の心を見透かしたかのように、二人は人気のない非常階段の方へ向かっていく。
 葛原は息を殺し、後を追った。
 その二人がいるであろう角を曲がる。
「おびき出されてくれましたね」
 少女がこちらを見つめ、口を開いた。
「おびき出された……?」
「人気のない所に来てほしかったのは、こっちの方なんだよ」
「何のことかね?」
「貴方から殺意を感じるんです。クローズドサークル、発動!」
 千夜が葛原を指差すと同時に、二人を光が包みこの空間からかき消した。

 突然洋館の応接間のような場所に飛ばされた葛原は、ポカンと口を開ける。
「ここは……」
「欲望を解放する場所です」
 千夜はソファで足を組み、語りかけた。
「欲望、欲望か……」
 葛原は声を上げて笑うと千夜の隣に座り、その顎を持ち上げた。
「つまり君を好きにしていい、と?」
「はい……」
「そうか。君の唇は、とても素敵だ」
 そして、艶やかな唇をべろりと舐め上げた。
「ひ……っ」
 千夜は思わず声を上げ、葛原を突き飛ばそうとした。
 だが欲望に身を任せた男の力は強く、びくともしない。
 その生温かい舌に舐められ、湿った唇で触れられ、千夜の瞳に涙が溢れる。
 ――キスは風切君としかしたくないのに……。
 口付けは恋人同士でするもの、それは自ら選んだ過酷な道で千夜が引いていた一線だった。
 しかしこの男はそんなことなど気にもせず、千夜の引き結んだ唇を舌でこじ開け、口内を犯し始めた。
「んっ、うう……っ」
 分厚い舌が千夜の歯列をなぞり、薄い舌に絡み付く。
 ――気持ち悪い……。やだ……。
 葛原が千夜を解放すると、二人の間を唾液の糸が引く。
「じゃあ、次はこっちをしてもらおう。分かるね?」
 葛原は千夜の頭を掴み、自分の股間を見せ付ける。
「フェラチオを、してもらおう」
「ふぇら……」
 千夜には口淫の経験がない。風切に対しても、だ。
 ペニスを口に入れるのはまだ抵抗があると言えば風切は強要しなかった。そして殺人鬼たちは千夜の胸の方に興味を持ち、それを弄るだけで勃起させ膣に挿れた。
 ――でも、口で射精させれば、それだけで終わらせられるよね……。
 魔法探偵の殺意回収法は、精液の摂取である。受け入れる場所が膣であれ口であれ問題はない。
 ――それなら……。
 千夜は息をつくと葛原のズボンのチャックを下ろし、おずおずとした手付きでペニスを取り出した。
 それはまだ勃起していないというのに太く、グロテスクな赤黒い色をし、強い雄の臭いを放っていた。
「う……」
 千夜はきゅっと目をつぶり、まずは亀頭に口付けた。
 熱が、唇に伝わってくるのがよく分かった。
「ん、く……」
 ――風切君のと、全然違う……。
 手で触れたことならある彼のモノを思い出す。
 ――もっときれいだったし、こんな色じゃなかったし、臭いもこんなに酷くなかった……。
「何を考えているのかな?」
 葛原が千夜の頭を押さえ込み、その勢いで肉棒が千夜の口内に侵入する。
「あ、ぐっ!」
 舌全体で肉棒を味わうことになった千夜は、その味の濃厚さに驚いた。
 塩辛さと苦味の混じったそれはつんと鼻を刺激し、涙が零れる。
「うう、んんっ!」
 吐き出してしまいたかったが、男の手が許さない。
 それどころか更に奥までくわえさせようと力を込める。
「んっ、おえ……っ」
 ペニスの先端が喉を突き、千夜はえずいた。
 それでも早く終わらせたい一心で、もごもごと舌を動かす。
 幸い葛原のイチモツは千夜の口に入ってすぐ勃起したため、その苦しみは長く続かない。
 再度千夜がえずき、喉が収縮したことでペニスはビクンと跳ね、精を吐き出した。
「ひゃぐっ!」
 白濁液は熱く、食道が焼けるようだった。
 ――でも、殺意は回収できた……。

 葛原光男は、それなりに裕福な家庭で育った。
 だが父と母との生活が幸せと呼べたか難しいところだ。
 父は仕事にしか興味がなく、妻や息子と会話することはほとんどなかった。
 それが始まったのは、葛原が高校生になった頃だ。
「母さんちょっと出かけてくるわね」
 そう言って夜になると家を出る母の唇は赤く、艶かしかった。
 若い男と出かける時にだけ塗る口紅。
 それは母が女へと変わるスイッチのようなものだった。
 母ではない『女』に、葛原は堪らなく興奮した。
 背徳感のようなもので、気持ちが昂ぶった。
 そんな生活をしていた母は、葛原が大学生の時に死んだ。
 不倫相手の男に殺されたのだ。
 男は母と結婚したかったらしい。離婚しないと言った母を殺し、その首を葛原家の庭に投げ込んだ。
 不幸にもそれを発見したのは葛原だった。
 葛原は悲鳴を上げることをしなかった。
 ただ、母とは違う『女』の首を持ち上げると、その唇に口付けた。
 ドクン、と鼓動が高鳴る。
 憧れていた女に口付けたという高揚感。
 この経験が彼を殺人鬼へと仕立て上げたのだ。

 ショッピングモールに戻った千夜は、風切の手を強く握り締めた。
「早く、行こう」
 ぼんやりと立ち尽くしている葛原は、方っておいても自首するだろう。
 もう、あの男を見たくはなかった。
「おう」
 風切も何かを察したのか、千夜の手を引きショッピングモールの出口へ向かった。

「あのさ、大丈夫か?」
 砂浜を歩きながら、風切は口を開いた。
「う、うん、大丈夫」
 千夜はなんとか微笑んで見せたが、どこかぎこちない。
 風切は頭を掻くと周囲を見回し、誰もいないことを確かめる。
 そして千夜を抱き締め、口付けた。
 それは触れるだけのもので、葛原とは全く違うキスだった。
「俺がお前にできること、何かないか考えてた」
「うん」
「アクセサリーとかプレゼントしたいけど金ねえし、デートしててもお前を楽しませられてるか分からねえし、でも……」
 風切の顔は、林檎のように赤くなっていた。
「愛なら、いくらでもやるからさ」
「うん……」
「い、今のはいくらなんでも寒かったか!」
「いや、嬉しいよ……。うん、嬉しい」
 千夜はくすくすと笑い、今度は自分から風切にキスをした。
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テーマ:恋愛:エロス:官能小説 - ジャンル:小説・文学

  1. 2017/03/11(土) 20:43:00|
  2. 没小説
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