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18禁小説『アクアマリンの悲劇(後編)』

 ミステリーと言いつつ事件要素はかなり薄いです。
 イベント後、本条に強姦される千夜。アナルセックスがメイン。


 ホテルの大広間でイベントが始まったのは六時のことだった。
 三十ほどある丸テーブルに五人ずつが掛け、ビュッフェスタイルの夕食を取りながら三十分間ステージで行われる事件編の芝居を観る。そして三十分の推理タイムで解答用紙に犯人の名と理由を書いて提出、その後また三十分の解決編に当たる芝居を楽しむというものだ。正解者には翌朝景品が贈られるらしい。
「はあ……」
 月船は豪勢な料理を皿に取り分けテーブルに置くと、溜め息をついた。
 正面に座っている本条はそれを見て肩を竦める。
「偶然は重なるもんだな」
「全くですね。必然ではないかと疑うほどに」
 皮肉を言った月船に、本条はもう一度肩を竦めて見せた。
「テーブル番号は抽選だ。あみだも運の問題。被害妄想が過ぎるんじゃないか?」
「そうですか、妄想であることを願いますよ」
「何の話ですか?」
 料理を盛った皿を手に、千夜が月船の隣に座る。
「いえ、大した話ではありませんよ」
「ああ、千夜ちゃんはこういうイベントが得意なのかとか、そんな話だ」
「こういうのですか? そうですね、母とはよく参加しましたし、得意な方かも」
「お母さんと?」
「はい、私がミステリー好きだから、色々付き合ってくれて」
「良いお母様だったのですね」
 死んだ人間のことをこれ以上この少女の口から語らせたくなかった月船は、さりげなく話を打ち切り本条を見た。
 彼は申し訳なさそうな表情を浮かべている。
「んー、やっぱりここのテリーヌおいしい。ビュッフェ形式もいいものですね!」
 千夜はそれに気付かないふりをし、フォークを動かす。
 聡明な子だと、月船は思う。
 大人より他人に気を遣い、思いやることのできる少女。
「口元、付いてますよ」
 月船は千夜の口元に付いているソースを拭ってやった。
「え? あ、ありがとうございます」
 千夜は頬を赤らめ頭を掻く。
 だからこそ甘やかし、子供として扱ってやりたい。
 だが、月船自身千夜の大人の部分に甘えているところもあった。
 ――多分本条さんも同じなのでしょうね……。
 そうこうしているうちに、ステージに司会の女性が現れ推理劇の始まりを告げた。
 千夜がそちらに集中し始めたので、月船も真剣に参加することにした。
 五人の役者――その全員が容疑者である――がつい先程起こった殺人事件について意見を交わし合い、時には怒鳴り、泣き、罵る。
 被害者は会社の社長で、妻と若い愛人、愛人の恋人だった秘書の男、社長の座を狙う副社長、偶然にも社長室で遺体を見付けてしまった新入社員の青年が、警察を呼ぶ前に自分は犯人ではない、お前がやったのだろう、などと言いながら観客に情報を提供してくれる。
「消えた凶器系か」
 千夜は小さな声で呟き「ふむ」と息をつく。
 ――ドロドロな人間関係ですね……。
 月船は事件よりもそちらの方が気になってしまう。
 老いた妻は愛人の若さに嫉妬し、気の強い愛人は妻を醜いと嘲笑する。彼女に遊ばれていた秘書は絶望に膝をつき、副社長は死んだ社長の無能さを論う。ただ新入社員の若者だけが場違いな様子でぽかんと突っ立っているのが滑稽であった。
「ドロドロだな……」
 本条も同じことを思ったらしい。
 そして三十分の劇が終わっても、月船は情報の多さについて行けずにいた。
 千夜はすぐに解答用紙に書き込み始めたので、既に犯人が分かったのだろう。さすがは名探偵だ。
「分かりましたか?」
「いや、まったく」
 月船と本条は名探偵になれないようだ。

 解決編が終わり、大広間から出て行く客たち。
「千夜さんの言った通り、新入社員が犯人でしたね」
「ふふ、意外でした?」
「ああ、一番犯人から遠いと思ってたよ」
 月船と本条は千夜を挟んで雑談をする。
「ちょっと失礼」
 ポケットの中でスマートフォンが震えたのに気付き、隅に行って通話を始める月船。
「誰からでしょう」
「真面目な顔してるから、仕事関係じゃないか? ――そうだ」
「どうしました?」
 本条はしまったという表情で頭を掻いた。
「この間の事件の時、ハンカチを落としていっただろう? 会った時に返せるよう持ち歩いてたんだが、部屋に置いてきちまった」
「そうだったんですね。どこで失くしたんだろうって探してたんですよ」
「じゃあ、取りに行ってくる」
「私も行きます」
「君も?」
「わざわざ持ってきてもらうのも、申し訳ないですから」
「そういうことなら」
 本条は内心溜め息をついた。
 ――この子は本当に無防備だな。
 月船が心配するのも分かる気がした。

 本庄の部屋は五階にある。
「へえ、こんな感じなんですね」
 千夜は中に入ると辺りを見回した。
 月船と千夜が泊まっている部屋よりは劣るが、一人で泊まるには十分過ぎる広さで窓からの見晴らしも良い。
「ここからも海が見えますね」
「ああ」
「ふふ、綺麗……」
 窓から海を見つめている千夜の首筋にある赤い痕を、本条は見てしまった。
 ――月船が、付けたものか……。
 その瞬間、暗い欲望が這い上がってきた。
 気付いた時には、千夜を後ろから抱き締めていた。
「あ、あの……、本条さん?」
 千夜は微かに震えた声で問いかける。
「君が悪いんだ……。無防備過ぎる」
「え?」
「君に伝えず、耐えるつもりだった。影から見守るだけでいいと思っていた。でも、そんなものを見せられたら……」
 本条の無骨な手が、千夜の首筋を撫でる。
「あの男は駄目だ、危険な匂いがする。月船に君を渡したことを、ずっと後悔していた」
 本条は千夜を抱き上げると、ベッドに押し倒した。
「待ってください、私、ただハンカチを取りに来ただけで……」
 千夜はそう言いながら本条を押し返そうとするが、力の差は歴然だ。
「ああ、君はそのつもりだったんだろう。だけど、俺にとっては違う。ずっと君を愛していた。悪いが、もう止められない」
 本条は千夜のワンピースを捲り、そのままパンティーも脱がせてしまった。
「いや……っ」
 露わになった下半身を隠そうとする千夜の手を片手でまとめ、本条はもう片方の手で太ももを撫でる。
「やめてくださいっ!」
 今や千夜にできるのは、言葉で拒絶することだけだった。
 しかしそんなものに効果などなく、本条の手が股間に触れる。
 閉じられた足の間に指を入れ割れ目を弄っていると、どろりとした精液が絡み付くのを感じた。
「月船の、精液か……」
 ――忌々しい……。
「彼は、どんなふうに君を抱くんだい?」
「え……?」
「あの男と同じ抱き方はしたくない」
「もう、やめてください、こんなこと」
 千夜は瞳に涙を浮かべ、首を横に振る」
「君を月船から奪えるなら何だってする。例え君が、俺を憎む結果になっても」
 本条はそう言うと、千夜を無理矢理俯せにさせ秘部を見つめた。
「アナルセックスはまだだろう?」
「し、舌だけ……」
「それなら、アナルセックスをしよう」
 月船の精液が絡んだ指をぷっくりとした肛門に差し入れる本条。
 そこは柔かく、既に解れていた。
「舌は、さっき入れられたのか」
「は、はい……」
 千夜は羞恥で震えた声を出す。
 抵抗がないのは諦めたからなのか受け入れたからなのか、本条には分からない。
 どちらにせよ、この行為を中断する気はなかった。
「うっ、うう……っ」
 尻の穴を指で掻き回され、千夜は屈辱に染まった声を出す。
「いや、お尻、いやあ……っ!」
「俺は、君の初めてが欲しいんだ」
 じゅぷじゅぷと淫猥な水音を立てながら、本条は人差し指と中指を出し入れした。
「ん、んーっ!」
 千夜はせめて声を出すまいと枕に顔を押し付け、シーツを握り締める。
「うう、うーっ!」
 くぐもった声とぐちゅぐちゅというが部屋に響く。
 本条は昂ぶり、股間に熱が集まるのを感じていた。
 月船以上の巨根を取り出すと、アナルから指を抜き代わりにそれを押し当てた。
「本当に、やめてください、もう……」
 千夜は涙声で最後の懇願をした。
「すまないが、やめられない……」
 亀頭が、ぐぽんとアナルに飲み込まれる。
「んあっ!」
 異物感に、千夜は悲鳴を上げた。
「さすがにきつい、な……」
「う、いや……っ!」
 太い肉棒が、腸壁を押し広げていく。
「ふっ、あっ、くううっ!」
 千夜は苦しさと微かな快感の間で呻いた。
「愛してるんだ、君をっ! もっと早く、伝えるべきだった……っ!」
「はあ、はっはっ、や……っ!」
 千夜は犬のように舌を出し、荒い息をつく。
 強姦者は千夜の腰を掴み、ピストン運動を始める。
「あひっ! おしりいいっ、らめえっ!」
 肛肉が捲れ、ペニスに絡み付いてくる光景はとても卑猥だった。
「ふう……、くっ!」
 本条の自身がビクンと跳ね、腸内に白濁液を放つ。
「あ、あ……」
 千夜は絶望したような声を上げ、涙を零した。

 行為が終わっても、本条は後悔していなかった。
 刑事として、男として、人間として、最低なことをしたのだという自覚はある。
 それでも、千夜が欲しいという気持ちは止められなかったのだ。
 無言でベッドに寝転んだままの千夜は、どう思っているのだろうか。
「千夜ちゃん……」
 本条が声をかけようとした時、外から男の悲鳴のようなものが聞こえた。
「何だ……」
 本条より早く、千夜が反応した。
 窓辺に駆け寄り外を見た千夜の瞳に、浜辺で揉み合う二つの人影が映る。
 片方の影が腕を振り上げ、石か何かでもう一つの人影を殴った。
 月の明りは顔を判別させるには足りなかったが、殴った者の手首をきらりと光らせる。
 殴られた影は倒れ、もう一つの影は駆け出していった。
「事件、なのか……」
 本条は千夜の後ろからその光景を見て、息を飲んだ。
「犯人は、それなりの年の女性でしょうね」
「え?」
 千夜の言葉に戸惑う本条。
「手首の内側で光ったのは、多分腕時計の文字盤です。殴った方の腕だから利き手。そんな付け方をするのは、昔のしきたりに倣う女性ですよ」
 先程襲われたとは思えないほど冷静な少女に、本条は「あ、ああ」と頷いた。
「だから、そういう人を当たってください」
「分かった!」
 刑事として、本条は部屋を駆け出した。
 千夜はたとえどんな時でも殺人事件を見過ごせない。
 服の乱れを直すと、彼女は息をついた。
「この気持ちにケリを付けるまで、私は立ち止まってなんかいられないんだ」

 翌朝、月船と千夜はフロントでチェックアウトをし、イベントの景品である焼き菓子の詰め合わせをもらった。
「ここのガレット美味しいんですよー。こんなにたくさん食べられるなんて!」
 千夜は月船に明るい笑顔を向ける。
「それは良かった」
 月船は千夜の髪を優しく撫でた。
「千夜ちゃん」
 そんな二人の元に、本条が駆けてくる。
「本条さん、昨日の事件、解決しました?」
 千夜は何事もなかったかのように彼に微笑み、問いかける。
「ああ、君が言っていた高齢の女性を中心に調べたらすぐに分かった。被害者はイベントに参加していた劇団の経営者、犯人は妻役をやっていた役者だ。解雇されそうになって殺したらしい」
「そうだったんですね」
「ちょっと失礼」
 月船は一歩前に出たかと思うと、拳を本条の頬に叩き付けた。
「つっ!」
 倒れ込んだ本条を見下ろし、月船は吐き捨てる。
「本当は殺してやりたいですよ、貴方のこと」
「文彦さん、なんで……」
 千夜は本条にされたことを話したりはしていない。戸惑い、彼の横顔を見つめる。
「何となく分かりますよ、君を見ていたらね」
「そんな……」
「俺は……」
 本条は頬を押さえながら立ち上がり、月船を睨み付けた。
「あんたから、彼女を奪ってみせる。月船さん、あんたは危険な人間だ」
 そう宣言すると、二人に背を向け歩き出した。
「文彦さん……」
 千夜は不安げに彼の名を呼んだ。
 月船は優しい笑みを浮かべる。
「君を、あの男に渡したりはしませんよ」
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テーマ:恋愛:エロス:官能小説 - ジャンル:小説・文学

  1. 2016/10/31(月) 11:25:09|
  2. 没小説
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